大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

長野地方裁判所 昭和59年(わ)57号 判決 1984年7月16日

裁判所書記官

近藤喜久郎

本店所在地

長野県塩尻市大字広丘野村一七一九番地二

福山産業

株式会社

(代表者代表取締役 土肥健資)

本籍

三重県尾鷲市北浦町一三八五番地

住居

長野県松本市大字寿豊丘一四二〇番地の六

会社役員

土肥健資

昭和七年一〇月二三日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官足立敏彦出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人福山産業株式会社を罰金六、〇〇〇万円に、被告人土肥健資を懲役二年にそれぞれ処する。

被告人土肥健資に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人福山産業株式会社は、長野県塩尻市大字広丘野村一七一九番地二に本店を置き娯楽遊技場を営む資本金一二〇〇万円の法人であり、被告人土肥健資は、右会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人土肥は、被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的で、売上を除外して簿外資金を蓄積するなどの不正の方法により所得を秘匿した上

第一  昭和五五年一一月一日から昭和五六年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億六、六四三万四二〇円であったにもかかわらず、昭和五七年一月四日、同県松本市城西二丁目一番二〇号所在の所轄松本税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、六七四万五、八八九円であり、これに対する法人税額が一、三四四万九、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、同会社の右事業年度の正規の法人税額六、七八七万六、七〇〇円と右申告税額との差額五、四四二万七、〇〇〇円を逋脱し

第二  昭和五六年一一月一日から昭和五七年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四億九、八七八万九、八五五円であったにもかかわらず、昭和五八年一月四日、前記松本税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八、五六八万一、三六五円であり、これに対する法人税額が三、三四二万一、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、同会社の右事業年度の正規の法人税額二億六八八万九、八〇〇円と右申告税額との差額一億七、三四六万八、三〇〇円を逋脱し

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人土肥の当公判廷における供述

一  被告人土肥の検察官に対する各供述調書(三通)

一  被告人土肥作成の提出書

一  収税官吏の被告人土肥に対する各質問てん末書(一三通)

一  土肥眞子(二通)、岡本英一、福山英夫の検察官に対する各供述調書

一  収税官吏の松田重敏、古屋眞、本間秀雄(三通)、池森保、柳鳥勝彦、前川廉、栗山明、保苅英夫(抄本)土肥眞子(二通)に対する各質問てん末書

一  収税官吏作成の各調査書(一〇通)

一  松本税務署長作成の昭和五八年三月二八日付各証明書(二通)

一  長野地方法務局登記官作成の商業登記簿謄本

(法令の適用)

罰条

1  被告会社につき 法人税法一六四条一項、一五九条一、二項

2  被告人土肥につき 法人税法一五九条一項

刑種の選択 懲役刑(被告人土肥の関係)

併合罪加重

1  被告会社につき 刑法四五条前段、四八条二項

2  被告人土肥につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情重い判示第二の罪の刑に加重)

執行猶予 刑法二五条一項(被告人土肥の関係)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 尾崎俊信)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例